「仏教聖典」は、より多くの人に触れていただきたい
との願いから、やさしくわかりやすい言葉を用いて
編集しております。ここでは私たちにとって身近
な問題を通じて、仏教の教えに出会っていただ
けるように、『和英対照仏教聖典』の言葉
から抜粋して、ご紹介いたします。
家庭は心と心がもっとも近く触れあって住むところであるから、むつみあえば花園のように美しいが、もし心と心の調和を失うと、激しい波風を起こして、破滅をもたらすものである。
この場合、他人のことは言わず、まず自ら自分の心を守ってふむべき道を正しくふんでいなければならない。
(パーリ、増支部 3―31)
『和英対照仏教聖典』431頁15行~433頁3行
家や財産を傾ける六つの門とは、酒を飲んでふまじめになること、夜ふかしして遊びまわること、音楽や芝居におぼれること、賭事にふけること、悪い友だちと交わること、それに仕事を怠けることである。
(六方礼経)
『和英対照仏教聖典』423頁3行~6行
もし父母を導いて仏の教えを信じさせ、誤った道を捨てて正しい道にかえらせ、貪(むさぼ)りを捨てて施しを喜ぶようにすることができれば、はじめてその大恩に報いることができるのである。あるいはむしろ、それ以上であるとさえいえよう。
(パーリ、増支部 2―4)
『和英対照仏教聖典』431頁10行~14行
東方の親子の道とは、子は父母に対して五つのことをする。父母を養い、父母のために働き、家系を守り、家督を相続し、祖先に対して供物を捧げることである。
これに対して、親は子に五つのことをする。それは悪を遠ざけ、善をすすめ、知恵・技能を学ばせ、結婚させ、適当な時期に家督を譲ることである。互いにこの五つを守れば、東方の親子の道は平和であり、憂いがない。
(六方礼経)
『和英対照仏教聖典』423頁14行~20行
西方の夫婦の道とは、夫は妻に対し、尊敬と、礼節と、貞操とをもって接し、権威をゆだね、装飾品を贈る。妻は夫に対し、すべての仕事をよく処理し、親族たちを適切に待遇し、貞操を保ち、家の財産を守り、家庭がうまくいくようにする。これによって西方の夫婦の道は平和であり、憂いがない。
(六方礼経)
『和英対照仏教聖典』425頁10行~15行
夫婦の道は、ただ都合によって一緒になったのではなく、また肉体が一つ所に住むだけで果たされるものでもない。夫婦はともに、一つの教えによって心を養うようにしなければならない。
かつて夫婦の鏡とほめたたえられたある老夫婦は、世尊(せそん)のところに赴いて、こう言った。「世尊よ、わたしどもは幼少のときから互いに知りあい、夫婦になったが、いままで心のどのすみにも、貞操のくもりを宿したことはない。この世において、このように夫婦として一生を過ごしたように、後の世にも、夫婦として相まみえることができるように教えて戴きたい。」
世尊は答えられた。「二人ともに信仰を同じくするがよい。一つの教えを受けて、同じように心を養い、同じように施しをし、智慧(ちえ)を同じくすれば、後の世にもまた、同じく一つの心で生きることができるであろう。」
(ビルマ仏伝)
『和英対照仏教聖典』439頁12行~441頁6行